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さて、最近話題になっているマイナンバーカードについて

司法書士が業務を行う場合に、どのような問題点が想定されるかを検討したいと思う。

前回、趣味全開の記事を書いたのに、こんな記事を書いて、お前の精神状態おかしいよと思われないか心配だが

私は元気です。

 

前提として、話題に挙がっている、健康保険証・運転免許証の機能がマイナンバーカードに統合され

マイナンバーカードの外見的要素・様式は変わらないものとする。

すなわち、総務省のマイナンバーカードの説明にあるとおり (参照 https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/03.html

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 性別
  • 顔写真
  • 電子証明書の有効期限の記載欄
  • セキュリティコード
  • サインパネル領域(券面の情報に修正が生じた場合、その新しい情報を記載(引越した際の新住所など))
  • 臓器提供意思表示欄

以上が統合された後も継続すると仮定する。

 

① 不動産登記手続き等における本人確認において

恐らく司法書士が、身近にマイナンバーカード等の本人確認書類に触れる機会があるのは、不動産取引における本人確認手続きであると考えられる。但し、不動産取引にかかわらず、依頼者から業務を受任する際には、最低限の本人確認を行うのが望ましいとも考えられるため、不動産登記手続き等として考察するものである。いずれにせよ、司法書士が行うべき本人確認とは、目の前にいる人物が、提出された本人確認書類に記載されている人物かを検討する作業である。この作業には、当該本人確認書類が、有効なものかという検証も含まれていると解される。そして、司法書士は、本人確認書類に記載された事項、例えば住所や顔写真を元に、本人であるか否かを断定していくことになる。なお、本人確認書類とは、運転免許証等一種の身分証として機能する物を指しており、主として、公的機関が発行する顔写真のあるものを一号、無いものを二号として考え、本人確認にあたっては、一号なら一点、二号なら二点確認すれば足りると考えられている。

 

さて、当職の経験上、本人確認書類で最も使用される傾向が高いのは、運転免許証であるといえる。これは、恐らく、日本国民の多くが20歳前後には運転免許を取得しており、公道を走行するにあたっては、運転免許証の携帯を義務付けており、基本的に、所持していないということがないため、多くの国民の財布などに同封されていると考えられるためである。また、前述の一号の本人確認書類に該当するため、他の書類を求める必要がないなど、司法書士の立場からも提出を求めやすいという事情がある。

以上の観点から、司法書士は運転免許証の提示を求めてきた訳であるが、今後、マイナンバーカードと統合された場合、運転免許証の代わりに、マイナンバーカードの提示を求めることになると考えられる。しかしながら、運転免許証の記載事項は

  • 氏名
  • 住所
  • 生年月日
  • 顔写真
  • 免許証交付日及び有効期限
  • 免許の条件等
  • 運転免許番号
  • 免許の種類

等となっており、マイナンバーカードと相違する。このことから、司法書士の本人確認業務に影響があるか以下に検討する。

 

前述のとおり、マイナンバーカードと運転免許証の記載事項には相違があるが、これが本人確認業務に影響するか、結論を先に出せば、特段大きな影響はないと考えられる。

まず、司法書士が運転免許証の記載事項で確認をするのは、住所・氏名・生年月日・有効期限の四点であり、この記載事項はマイナンバーカードにも記載がある。また、運転免許証の他の記載事項は、本人確認をより正確に行うための補完要素だと推察する。例えば、運転免許証には大型二輪の許可がないにもかかわらず、大型二輪で来所している場合には、その人物に疑義が生じるという具合である。また、運転免許番号については、その番号に意義があるとされているが、その詳細を把握している司法書士も決して多くは無いと考えられるため、司法書士の主たる確認事項ではないと考えられる。また、マイナンバーカードに搭載してあるチップを利用して、本人確認を行う機器が登場しているため、業務の為に携帯する司法書士が多くなれば、本人確認を行う司法書士の一助になる可能性はある。(もっとも、成りすましの可能性があるため、本人確認の業務自体は無くなることはないだろう。)

しかしながら、運転免許証と異なり、マイナンバーカードの有効期限は、場合によっては10年となっており、発行された日時と本人確認の日時の差異によっては、妥当な本人確認ができない可能性がある。また、運転免許番号についても、正確に把握していれば、十分に本人確認に利用できるものであるため、確認をできる機器を所持していない場合は、本人確認の精度が低下する可能性がある。

 

② 後見業務への影響について

当職が、司法書士の業務に強く影響が出ると考えるのは、登記手続きよりも、むしろ後見業務にあると考える。司法書士が成年後見人等に就任した場合、原則として本人の本人確認書類等を管理することになり、病院や各種手続きに本人確認書類等を提出することになる。以下にその影響を検討する。

 

A 本人がマイナンバーカードを所持していない場合

現在就任している後見業務について、マイナンバーカードの統合がなされたとき、紙の健康保険証を存続させない方針を政府が採用したとする。その場合、後見人は、本人の為に、健康保険証に代わるマイナンバーカードの発行手続きを行う必要性が生じることになる。そして、発行にあたって、本人の顔写真の提供をすることになるが、本人が内心許諾しているか判然としないにも関わらず、後見人が写真を撮影し、その写真を提供することに法的に問題はないのか、また、病院で寝たきりの場合、背景が写ることになる。また、医療器具が顔付近に写る可能性もあるため、これらの場合でも発行ができるのか、疑問が生ずる。

上記の発行手続きまでの問題点が解決しても、健康保険証と異なり、即時発行がされないとすると、後見業務に影響を及ぼしかねない。例えば、後見業務の主たる業務の一つに、本人の財産の管理と調査があるが、金融機関によっては、本人の本人確認書類がなければ、調査が認められない場合がある。そもそも、本人の本人確認書類が一切存在しない場合、審判書・確定証明書・本人の住民票で本人確認が認められないとすれば、マイナンバーカードの発行が出来ないことになる。

 

B 本人がマイナンバーカードを所持している場合

本人がマイナンバーカードを所持している場合でも、マイナンバーカードの更新に際して、前述の写真提供の問題は発生しうる。また、更新の手続きを後見人が行えるのか、という問題も生じうる。現在のところ、マイナンバーカードの更新を行った後見人の話を聞いたことがないため、具体的な問題点は想定できないが、本人確認書類の統合が進めば、更新の為に提出しうる本人確認書類が減少することが考えられる。

 

③ まとめ

マイナンバーカードの統合によって、後見業務に影響が出る可能性があることは前述したとおりであるが、前述の問題点が解決されうるのであれば、健康保険証だけでなく、介護保険証の機能も統合して頂きたいところである。もっとも、この場合、本人の要介護度などをすぐに確認できる書式にして頂きたい為、現状のマイナンバーカードで統合されても不便になる可能性が考えられる。思うに、個人番号の制度自体、曖昧なまま始まった制度なので、あいまいな存在に、機能を詰め込んでも、問題が発生することは目に見えている。そのため、安易な統合で、現場を混乱させるようなことがなければ幸いである。因みに、私の提案するマイナンバーカードの様式としては、①顔写真を廃止すること②マイナンバーカードについては、スキャン・コピーの際にのみ視認できるように加工すること③有効期限を10年に固定というのを挙げておく。①については乳児でも発行できるようにするための処置である。②については、基本的に個人番号の提出先は役所・病院等が挙げられると想定して、通常の状態で視認できなくても、問題はないと考えている。③顔写真を廃止したことにより、10年としても特に問題はないと考える。また、電子証明のみ期間が異なることについて合理的な理由が考えられないため、同じく10年としたが、そもそも期間の必要性も考える必要があると思われる。このマイナンバーカード使用方法は他の書類の統合を考えずに、各種申請手続きに添付して使用することを想定する。例えば、補助金申請、医療費控除の補助的存在と考え、通常の添付書類と併せて添付することにより、確定申告などの手続きの際に自動的に計上される等のメリットを提供する。そもそもの問題点としては、マイナンバーカードの使用場面がないため、その使用場面を増加させることにより、先に国民にその有用性を確認してもらうことが望ましいと考えている。

 

以上、もうちょっとまともな制度になって欲しいと考える今日この頃 適当に書いたので誤字脱字はご容赦を。

 

:10月25日追記

マイナンバーが利用できない人には、別の新制度で対応するとの報道がありました。

もう、紙の保険証で良くないですかね?

とりあえず、両方併存させて、マイナンバーカードの利便性を高めれば、その内、国民の利用度も高まると思いますし

そのほうが反発が少なかったのではないかと思う今日この頃