前回の投稿から時間が少し空きましたが元気にしております。
さて、改めて相続登記が義務化された時の未来予想でもしたいと思います。
今回も、司法書士の独り言ですので、あまり真に受けないで下さいね。(´・ω・`)
今回の予想は「登記事項証明書が分厚くなる」
登記事項証明書とは、不動産の証明書に当たるもので、人間で言うところの戸籍のような存在になります。
因みに、この証明書は、一定の手数料を収めることで誰でも閲覧することが可能です。
登記事項証明書には様々なことが記載されていますが、ざっくりと説明すると、種類や面積が記載された①表題部と、不動産の所有者や担保権者の情報が記載された②権利部があり、権利部はさらに、所有権に関する事項が記載された甲区と、それ以外の権利の事項が記載された乙区があります。
では、何故これが将来的に分厚くなるのかというと、登記事項証明書の分厚さは、その不動産になされた登記の回数によって増加していくものであり、それが、相続登記の義務化より、急激に増加する可能性があるからです。
例えば、甲土地を所有するPさんが死亡して、その相続人がA、B、Cの三人だったとします。
この場合、司法書士が関与していて、相続人間で争いが無ければ、99%単独所有の名義にします。つまり、仮にAが所有者になるという場合は、PからA名義に相続手続きを行います。
そして、この時、登記事項証明書には、Pが甲土地を取得した次の順位番号で、A名義の所有権移転がなされることに成ります。
人によっては上記の流れが当然だと思うかも知れませんが、別のパターンも存在します。
例えば、乙土地を所有するQさんが死亡して、その相続人がA、B、Cの三人だったとします。
この場合、相続人間で話がまとまらなければ、相続人は単独で、他の相続人を含めた相続登記を行うことが可能です。つまり、乙土地について、とりあえずA、B、Cの共有の名義にすることが可能なのです。
そして、登記事項証明書には、PからA、B、Cの共有名義の所有権移転登記が行われることとなり、A単独名義にするには別途登記手続きを行う必要があります。
現状の法制度では、権利に関する登記は任意であり、一度の手続きで終結する前者と異なり、後者の手続きにはメリットがあまりありません。
ところが、相続登記が義務化されれば、相続人が罰則を逃れるために、安易に後者の手続きを行い、権利関係が複雑化する可能性があります。
先ほどの乙土地の事例で言えば、PからA、B、Cの共有名義の所有権移転登記が行われた後、Aが死亡し、その相続人はD、Fであり、A持分についてD、F共有名義のA持分全部移転登記が行われた。その後Bが死亡し・・・。という事情が連続して発生すれば、単独名義にするための労力が増大しますし、争いの元になる可能性が高くなります。
ついでに言えば、これを単独所有にするために何度も登記を行えば、登記事項証明書は非常に複雑なものになり、かつ分厚くなるでしょう。
ちなみに、登記事項証明書は一定のページ数を超えると、値段が少し高くなります。紙資源の無駄になりますし、可能であれば、綺麗な登記事項証明書を維持したいですね。
分厚い登記事項証明書を見てみたいという方は、敷地権化されていないマンションの土地か、某食品の通信販売を営んでいた本社ビルの登記事項証明書を探してみてはいかがでしょうか? まぁ、見ても面白いものではありませんけどね。
今回のまとめとしては、安易に共有名義で登記するのはやめましょうということです。これは一時的な方法であり、根本的な解決策ではありません。
必ず、自分の代で問題を解決するという意思を持って行動してくださいね。
それではまた