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最近、行政改革の一環として、行政文書に「はんこ」を使用しなくなるかも知れないというニュースがでてきましたので

銀行員と同じくらい印影を確かめる職業の人間として思うところを述べたいと思います。

 

例えば貴方が、銀行から不動産を担保にお金を借りたとします。

そのとき、金銭消費貸借契約書と抵当権設定契約書、銀行によっては登記原因証明情報と題する書面に署名・押印することになるでしょう。

また、司法書士が同席していればその場で委任状も署名・押印すると思います。

上記の書面の内、法律の規定により実印で押印しなければならないのは、司法書士に対する委任状だけです。

それでは、他の文書に押印は必要ないかというと、恐らく銀行は署名だけでは認めてくれません。

これは、銀行側の一種の保険であり、押印されていることによって、債務者の側から、文書の成立を否定しにくい状態にしているのです。

 

「何をそんな当たり前のことを言ってるんだ?」と思われる方も居るかもしれません

それでは、仮に「はんこ」が廃止された場合、日本人はどうやって有効な文書を作成してくのでしょうか

例えば、不動産購入時に読むことになるであろう重要事項説明書等の文章は結構なページ数になっていますが、全てのページに署名していくことになるのでしょうか?

「いやいやこれからは電子署名で一発だよ」という意見もあるでしょう

電子署名を行う場合は、電子署名とそれを送受信する環境が必要になりますが、まずは全国民が電子署名を取得するところから始まりそうですね。

取得後に電子署名をさせたとして、電子署名をした人は本当に本人なんでしょうか?

 

以上、はんこ文化擁護派みたいな論調になりましたが、私も何も考えず単なる形式の為に必要な押印は大嫌いで、そういうのは省略してもいいのではと思います。

私の経験ではありますが、司法書士が作成する本人確認情報のように非常に重要な文書については、私自身本当に何度も自問自答しながら職印を押印しておりますが、これが私の署名になったら、どう変わるのか? 気軽に作成してしまうのか、もしくはそこまで変わらないのか等、色々思うところはあります。

 

ちなみに私見ですが、不動産登記の申請において、実印の押印と印鑑証明書の添付がなくなることは暫く無いと思います。

これは、登記識別情報が盗まれた場合に、勝手に登記されるのを防ぐ手段として印鑑と印鑑証明書が必要であると法務省が述べており、これに代わる手段が用意できない限り、はんこ文化は残るだろうと思います。

まぁ、私としては、職印の作成に安くないお金を払っているので、もう少しはんこ文化には頑張ってもらいたいと思います。